道教組は、道教委に「胆振東部地震被害にかかる要求書」を提出

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2018年9月21日

北海道教育委員会   

教育長 佐藤 嘉大 様       

                                                  全北海道教職員組合 

                                                             執行委員長 川村 安浩

胆振東部地震被害にかかる要求書

 9月12日に胆振東部地震被害にかかる緊急要求書を提出しましたが、その後も、全道の組合員から以下のような状況が報告されています。

  • 学校の再開の状況
    • 地震当日に、十勝管内3町で、停電の中に授業が行われた。浦幌町、陸別町では、通常通りの6時間授業を実施。陸別町では給食の手配ができず、備蓄されていた非常食を給食の代わりとした。
    • 日高では、児童生徒も教職員も大きな被害を受けた中、複数の学校で、地震翌日から授業が再開された。新ひだか町の2校では、朝4時に停電から復旧したことを理由に、授業が再開された。教職員の多くは自宅が停電、断水、損壊などの被害。電話は復旧しておらず、担任が携帯電話で児童生徒に連絡した。給食の代わりに非常食を出して、6時間授業を実施した。
    • 安平町では、自宅が大きな被害を受け、避難所にいる児童生徒もいる。教職員は自身も被災しながらも連日出勤し、学校の復旧等に尽力していた。学校の再開にあたって、教職員への打診等が一切行われないまま、実施された。避難所から通学する子もいる中、体育館もグランドも使用できず、児童の不安やストレスに十分に対応できる体制が整っていない。
  • 児童生徒への対応について
    • 停電で電話が通じないため、多くの教員が携帯電話を使用して各家庭に連絡を行った。
    • 被害の大きかった地域で、地震当日から担任する児童生徒の家を家庭訪問した学校もある。停電のため、 信号は止まり、昼食も手に入らない中、多くの教員が一日がかりで各家庭を回った。
  • 教職員の勤務対応について
    • 停電の中、授業が再開された学校では、遠距離から通勤している教職員がガソリンの給油をすることができず、除雪機用のガソリンで急場をしのぎながら、ガソリン切れの不安を抱えての通勤を余儀なくされた。
    • 停電で休校の期間、多くの学校では、自宅待機、災害事故休暇、住居滅失休暇等の対応となったが、中には出勤や年休対応を求められる学校もあった。
    • 災害事故休暇の教職員が、食料や燃料を確保するために外出する際には年休対応を求められた。
    • 年老いた母の自宅が大きな被害を受けた教職員が、母を避難所に送り届けた後、休暇制度がないために翌日から勤務となった。
  • 停電時の備えについて
    • 寄宿舎のある養護学校では、休校の期間中、生徒を自宅に引き渡すのに時間がかかり、日曜日まで残った生徒もいた。水や食料の備蓄が2食分しかなかったため、多くの備蓄が必要と感じた。
    • 児童の薬の中には、冷蔵庫で保管しなければならないものもある。聞き取りを行った養護学校では教員の発電機を使用したが、停電時の備えとして学校には発電機が必要との声も上がった。
    • 避難所となった学校では、停電のために避難所としての機能が不十分だったのではという心配や、避難所となる学校に発電機の設置が必要との声が上がった。

 学校再開後も、多くの児童生徒が心身の不調を訴え、欠席をしたり保健室に通ったりする児童生徒も多くいます。また、教職員の疲弊も深刻であり、不調を訴える教職員もいます。

 つきましては、以下のように緊急の要求をいたしますので、よろしくお願いいたします。併せて、市町村・市町村教育委員会への働きかけもよろしくお願いいたします。

  1. 災害時における学校再開の判断について
    1. 学校再開の対応が学校によってばらつきがあったことをふまえ、児童生徒や教職員の安全や、安心して教 育活動に専念できる環境等に十分に配慮し、拙速な再開とならないようにすること。
    2. 停電・断水・給食の手配などの問題を抱えながらの学校再開とならないよう、災害時の学校再開の判断基 準を整えること。
    3. 学校の再開にあたって、実際に指導にあたる教職員の意向を尊重し、合意と納得を大切にすること。
    4. 災害時の休校にあたって、画一的な「授業時数確保」の押し付けを行わず、学校の実態や現場の裁量を最 大限に尊重すること。学校再開にあたって、「授業時数確保」を目的に拙速な再開となることがないよ う、校長や各市町村の教育委員会に働きかけること。
  2. 子どもの心のケア、健康保持、支援について
    1. 被災の大きな学校、避難所となっている学校には、教職員や養護教諭、事務職員など必要な人員を臨時的 に配置すること。
    2. 災害を体験した子どもたちの心のケアのため、スクールカウンセラーを配置すること。
    3. 避難所となっているために体育館やグランドが使用できない学校について、児童生徒が体を動かすことが できるよう、特段の配慮を講じるよう、校長や各市町村の教育委員会に働きかけること。
  3. 教職員の勤務条件整備について
    1. 教職員の心のケアとメンタルヘルスの維持のため、最大限配慮すること。
    2. 交通機関や道路の状況によって通勤が難しいと思われる場合は、教職員の安全を最優先し、無理に通勤さ せないよう各学校・教育委員会を指導すること。
    3. 児童生徒の安否確認などで使用した携帯電話代などの自己負担分を保障すること。業務で使用した携帯電 話代が自己負担とならないよう、環境整備を整えるよう、校長や各市町村の教育委員会に働きかけるこ と。
    4. 児童生徒の安否確認や連絡のための家庭訪問で自家用車を使用した場合の外勤旅費を補償すること。過度 な業務とならないよう、災害時の家庭訪問について判断基準を整えること。
    5. 災害による学校休校時の教職員の休暇が適切に取得できるよう、校長や各市町村の教育委員会に働きかけ ること。
    6. 親族の被災に際して援助ができるよう、住居滅失休暇の適用範囲を親族にまで拡大すること。
  4. 災害による停電時の備えについて
    1. 寄宿舎のある養護学校については、水や食料の備蓄を7日分確保すること。
    2. 養護学校や避難所となる学校については、発電機を設置すること。