「先生方の『働き方改善』のために」学校のリアル見える化プロジェクト

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2010年代から学校現場で働き方改革という声を聞くようになりました。

定時退勤日が設定されるようになったのもこの頃です。

「今日は17時に学校を閉めます。先生方は帰ってください。」
その言葉で、追い出されるように学校を出ました。もちろん、仕事は全部かばんに詰め込んで…。

部活が終わって18時。定時退勤日だけど部活があります。生徒を帰して打合せをしていたら、管理職に「何時だと思ってるんですか」と声を荒げられました。

一方で、こんな工夫をしているという声があります。

子どもたちは5時間。会議もしない。そうしないと定時退勤は実現できないってわかって、時数をやりくりした上で、なんとか実現できています。

こうした工夫がされている学校は全国にどれくらいあるのでしょう。学校のリアル見える化プロジェクトでは次のような声がありました。

放課後の時間を生み出さなければ、定時退勤は絵に描いた餅になってしまいます。

ある地域の事例でこんな話を聞きました。

地域の教育事務所が学校訪問に来た際に「事務所の職員には定時退勤をするよう働きかけている。学校もぜひがんばってほしい」と意気揚々と話をしていました。しかし、教育行政業務が滞っていて、要項発出から締め切りが早すぎるなど丁寧じゃない対応が増えているというのです。

第2話でも書いたように、学校の教職員をはじめとするソーシャルワーカーは連携と力合わせが仕事の基礎といっても過言ではない仕事です。おのずと、相談したりコミュニケーションを取ったりするのに時間がかかってしまいます。

もちろん、何も変えなくてもいいというわけではありません。

そこで大切に視点は「働き方改善」です。

ある学校で、校長先生がこんな話をしてくれたそうです。

本当に学校に必要なのは「働き方改革」よりも「働き方改善」。先生方が働きやすくなるように、職員室の環境整備を整えること。ICT化することでみんなが便利になるなら取り組んでみること。会議の必要性を考えて精選するとか学校としてできることを改善していくことで、少しずつ先生方が働きやすくなって、その結果として帰る時刻が早まるようにしたい。

この学校では、数年の年月の中で少しずつ業務を見直し働きやすさがじわりじわりと実現したそうです。

「『働き方改革』を具体化しないといけないから早く帰るんだ」は、本末転倒です。

そうではなくて、教育条件整備を含めて私たちの働き方がよりよくなる手立てが必要です。中教審「審議のまとめ」は、こうした観点で先生方に寄り添ったものとは言えないのです。