パブコメは、社会は変えるうねりになる

パブリックコメントが始まって、早くも4日が経過しました。2週間というのはあっというまで、ちょっと学校が忙しくなると、忘れ去ってしまいそうな日程です。

道教組では、この機会に現場のリアルを見える化して、よりよい教育を求め合うための取り組みとして #学校のリアル見える化プロジェクト を実施しています。学校の先生は日頃から「現実対応」として、自分達のまわりの教育活動の「現実的な落としどころ」を見つけているものです。そんな毎日の中でちょっと腰を据えて文部科学省に意見を送ってみようというのがパブリックコメントの取り組みです。

学校でよくある「現実対応」に慣れてしまった私たち

ちょっと「よくある」とは言いにくい例ですが、こんなこと学校でありませんか?

校長先生

校長先生

校区で熊が出ました。市教委からの「指示」で、登校時に先生方が街頭に立って子どもたちを見守ってほしいんです。

もしも熊に出逢ったら私たちはどうしたらいいんですか?

車で巡回じゃダメなんですか?

校長先生

校長先生

市教委からの「指示」だからねぇ。困ったねぇ。どうにかならないべか?

わかりました。じゃあ、「担任外で短い時間」でどうですか?

校長先生

校長先生

ありがとう。それでいきましょう!

担任外の先生方、集まってくださーい!

本来であれば「学校外の人材に頼めないんですか!!」と校長先生に迫ってもいい場面かもしれません。でも、市役所や教育委員会の方が巡視してくれたり、パトカーもたくさん走るって聞いたら、学校は「やらない」とはならないし、担任の先生方には負担をかけられない。そんな中での「落としどころ」なのです。

学校は日々、こうした「駆け引き」みたいなやりとりをして過ごしている場所なのかもしれません。

担任の先生から見たら上のようなやりとりは「ありがたいなぁ」となる一方で、ほかの場面では「それって、もっとどうにかならなかったの!?」と言いたくなるようなことだってたくさんあります。

意見を言うと言えば、 #教師のバトン

こうした「どうにかならんのか!?」という声が爆発したのが、2021年の #教師のバトン でした。

文部科学省は当時、教師の魅力を共有するツールとしてハッシュタグを作り出したといいます。しかし、現実はというと言うまでもありません。政治的な発言をしにくい空気がある学校現場の中で、当時の文部科学省が想定しなかった動きにつながったのです。

今回の「中教審『審議のまとめ』」に対するパブリックコメント募集に関わって、「改めて意見を述べなくても…」という諦めのような投稿をX(旧Twitter)で見かけます。

一方で、#教師のバトン については、少し古い記事ですが、次のようなものがあります。文部科学省はすでに「見ていない」というのです。記事は2022年の東京新聞のものです。

文科省の担当者は「SNSを通じて教員同士が相談できるコミュニケーションの場を提供できれば理想だった。チャレンジングな方法だと認識していた」と話す。

担当者は「最大限、反映していく」と話すが、投稿総数や内容については「把握していない」とした。具体的な分析もまだで、動きは鈍い。「今後、プロジェクトをどのように運用していくかは検討中。正直、いつまでに何をするというのは決まっていない」と説明した。

投稿数や内容 文科省は「把握してない」/#教師のバトン 炎上から1年 企画した文科省は悲痛な声を放置
https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/work/54205/

 言うまでもありませんが、今でも使われている #教師のバトン は学校のリアルを伝えやすいツールのように見えて、社会に訴えるツールとしてはもうひと工夫必要だというところなのではないでしょうか。

参考にしました
「#教師のバトン」の、その先へ――教師がものを言える存在となるために必要なこと/『#教師のバトン とはなんだったのか』著者福嶋尚子氏インタビュー - SYNODOS 2021年3月26日、文部科学省が教員の仕事の魅力を現場から発信してほしいと呼びかけて始まった「#教師のバトン」プロジェクト。その当初から「現場の疲弊しきった姿が文科省にはみえていない」「こんなに厳しい状況にある」といった批判が相次ぎ、プロジェクトは炎上、厳しい学校現場を象徴するものとして幅広くメディアに取り上げられることになった。

パブリックコメントは確実に文部科学省に届く取り組み

現在「中教審『審議のまとめ』」は、行政手続法に則って公開されている「e-gov パブリックコメント」で任意の意見募集としてパブリックコメントが募集されています。

パブリック・コメントは、国の行政機関が政令や省令等を定めようとする際に、事前に、広く一般から意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てることを目的としています。

パブリック・コメント制度について / https://public-comment.e-gov.go.jp/contents/about-public-comment/

中教審答申は「命令等」ではないので、「任意の意見募集」です。

そもそも「命令等」に該当しないものであっても、各行政機関の任意により行政手続法の規定に準じたパブリック・コメントが実施されています。

パブリック・コメント制度について / https://public-comment.e-gov.go.jp/contents/about-public-comment/

2022年には国税庁が募集したパブリックコメントに対して、7,500件の意見が集まり修正案が作られたことがあります。意見は集まれば社会を動かします。あなたの声は小さくても、束ねれば大きな世論をつくり、うねりとなるのです。ぜひ、パブリックコメント送付にチャレンジしましょう!

例えば、こんな例があります。

右の例は、道教組に集う仲間がパブリックコメントに送付したものです。

今回のパブリックコメントは「章ごと」に意見を求める形となっているため、右のような文章になります(クリックすると大きくなります)。

どの章でなんのこと書くの?

そんなときこそ、みんなで相談してみるのもいいでしょう。道教組では、パブコメを送るために必要な情報を発信しています。

2分30秒で章立てがわかる動画
読み込み中... 6月28日までの期間でパブリックコメントが募集されています。 審議のまとめの章立てに合わせて記述するスタイルなので、各章のポイントを簡単に紹介します。

パブリックコメントはメモアプリに下書きしよう!

今回のパブリックコメントフォームは、意見送信後にフォームに書いた文章が手元に残らない仕様になっています。

そこで、Wordなどの文章作成ソフトやメモアプリで下書きすることを強くおすすめします。そして、ぜひ、道教組や全教にもその声を「おすそわけ」して送ってください。

道教組では引き続き、情報発信をがんばります。

パブコメの文章、送ってください!
「学校のリアル見える化プロジェクト」 学校のリアル見える化プロジェクトから、パブコメの文章を道教組にも「お裾分け」してください。匿名にしたうえで、情報発信に活用させていただきます。