「つどいに行ったら、人生変わるよ」…教育のつどいを終えて

年に一度の大きな教育研究集会「教育のつどい」が終わりました。

今年は大阪での開催。北海道からは歴史的に、前年の全道合研の各分科会で報告されたレポートの中から、つどいに参加するレポーターを選出しています。

私たちが大事にしたいことを確かめられるすばらしい機会

学校で働いていると…

なんでこんな仕組みになっているんだろう

子どものためを考えてベストを考えたいけど、忙しくて思いつかない

そもそも、毎日が精一杯だよ

そんな思いに駆られることがあります。

つどいは、こんな日常の思いに応えてくれる場面がたくさんあります。

つどいには全体講演やフォーラムがありますが、日程の多くが分科会によるレポート検討です。

分科会に集う全国の優れた実践、鋭く現代の社会を見つめ専門的な立場からあたたかくレポートを解釈して価値づけてくれる共同研究者のみなさん、そして全国から集まったレポーターのみなさんとともにすごす2日間は、たとえレポーターじゃなくても、交流される実践の数々に励まされ、明日からの実践への勇気がわいてくるのです。

ちょっとしたきっかけが未来を切り拓く

分科会には、教科教育(国語や算数・数学など)と、課題別(学校づくりや教育課程、発達、特別支援など)のおおきくふたつがあります。

昨年のちょうどいまごろ、道教組オンライン学習会で実践交流をしていたらこんなことがありました。

今まで私はずっと、教科の分科会でレポートを発表していたんです。

なるほど、教科の専門性が高いですもんね。でもこれって、見方を変えると、教科の専門性をきっかけにして先生方をつないだり、学校をよりよくしたり…ってみたら、「学校づくり」のレポートともとれますよ?

じゃあ、全道合研では学校づくりでレポートしてみようかな。

そんなふうにして、昨年11月の全道合研では、教科ではなく教科外の分科会でレポートをしていただくことができました。そして、今年の教育のつどいに参加。最終日に会うことができて感想を聞くと、こんなふうに話してくれました。

いやぁ、ものすごく考えさせられました。先生が昨年、「学校づくりは?」と声をかけてくれて本当によかった!
問題は、(分科会討議でいただいた)この課題意識をどうしたらいいものか…

白熱した分科会討議が伝わってくるような、熱い思いを聞かせてくれました。

じゃあ、2学期さいしょの先生の様子とともに、「昨年のつづき!」っていって、全道合研にレポート書いてみたらどうですか? そのまえにまた、オンライン学習会で交流できたらいいですね!

それほど、つどいには教育の本質を考え、先生方を励ますチカラがあるのです。そういって、北海道への帰路に着く後ろ姿を見送り、とてもうれしい気持ちになりました。

私、辞めるのやめます。

以前の教育のつどいで、こんな出来事がありました。

全道合研に数年に一度、レポートをもって参加していた中藤さん。ある年、久しぶりに担任をした子どもたちとの日常をレポートにまとめました。学級通信に書いて子どもたちと共有した価値観をまとめつつ、学校現場の「リアル」に悩みをもっていたそうです。

中藤先生

中藤先生

教育って、なんだろう。誰のためにあるのかな。

自分自身が親として子育てを通して感じること、個性あふれる教室の子どもたちのことを一生懸命に想いながらも毎日の教育活動を進める中で、学校現場の多忙さや管理強化から感じる多忙感や無力感を感じて…

「教育の大変さと大切さ」を感じれば感じるほど、この仕事を続けていくことに限界を感じ始めていました。

そんな毎日の中で気づけば脳裏に「退職」の2文字が浮かんだと言うのです。

そうしてなんとか乗り切った1学期。そして夏休みの「教育のつどい」。

「教育のつどい」という非日常の環境に緊張しながらも、分科会討議で聞こえてくる、教育条理にあふれる全国の教育実践に魅了されたといいます。

全国の先生方は、実践の中身だけでなく、報告で語られる姿も素敵で、とても幸せな時間でした。

中藤先生の学級通信を通した実践報告は、「子どもたちを励ましながら、安心できる時間を教室につくっている。このことが子どもたちの成長につながっているのではないか」と共同研究者の先生がコメントして激励してくれました。

私が目指していたのは、そういう思いを言葉で子どもに伝えられる人なんだなぁ

レポーター席でその言葉を聞いて、涙が溢れたといいます。

北海道に帰ってきて、慌ただしく2学期を迎える中で中藤先生はちょっとだけ緊張しつつ校長室に行きました。

やっぱり辞めるの、やめます!

その一言とともに、夏休みの出来事をちょびっとだけお話ししたそうです。

すると最後に校長先生から聞かれました。

校長先生

校長先生

あなたの思いを変えたものはなんですか?

中藤先生は迷うことなく、とびっきりの笑顔で

希望です!

と答えました。

ちょっと勇気を出して参加してみたら…

学校で働く誰しもが、「先生になろう!」とおもったきっかけがあるはずです。

その思いを胸に日々の教育活動をしています。教育実践を紡いでいます。

そんな中でも、さいしょに掲載した声のように、さまざまな困難があって、その志はなかなか実現できない場合もあるかもしれません。

ちょっと勇気を出して、教育のつどいや全道合研に参加をすると、そんな困難を乗り越えられる大きなヒントが得られるのです。

そこで得た価値観を胸に、目の前の子どものことや、これからの実践を考えることは、これまでと違ったものになるはず。

「つどいに行ったら、人生変わるよ」

前段で紹介した例と同様の言葉が、なんと今年のつどいで、感想として聞かれました。決して大袈裟な言い方ではありません。

3日間の学びに、参加したみんなが希望をもって、全国のそれぞれの学校に帰っていき、教育実践という名の希望を紡ぎます。

そんなふうに、教職員組合が取り組む教育研究運動は過去から未来へ受け継がれています。

教育のつどいは、基本的に北海道から遠い場所で開催されることが多く、気軽に参加できるものではないかもしれません。でも、開かれた教育研究集会として行われているので、道教組を通して事前に「参加券」を購入すると、オブザーバー(レポーターではなく聴衆)として参加することができます。

また全道合研の分科会はオンラインで行われるため、気軽に参加できるようになっています。

あなたもいっしょに、教育への思い、価値観をともに語り合いませんか?