「学校のリアル見える化プロジェクト」始動!

4月中旬、新聞各紙が「残業代2.5倍に!」「50年ぶりの見直し」などと報道し、X(旧Twitter)で、「教職調整額が10%になる」と大きく話題になりました。中央教育審議会「質の高い教師の確保特別部会」がまとめた「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)(素案)」が発表されたからです。道教組では、大きく3つの問題点があると考えました。

道教組が考える「審議のまとめ」の問題点

学校の先生の人数を定める方法(定数改善)を抑制させるきっかけとなること

ひとりひとりの教員の負担を減らすためには、例えば「持ち授業時数の上限を設けること」や、「『乗ずる数』を改善して、基礎定数を改善し、加配施策に縛られないフリーの先生などの教職員定数を増やすこと」などが考えられます。

「審議のまとめ」ではどちらも否定し、児童数の減少に対応しながら加配定数増で対応するとしています。理由は「基礎定数を改善したとして、増加した教員定数が持ち授業時数の減少のために用いられない可能性がある」からです。

教職員の給与を全体的に見直し、時間外勤務が容認される恐れがあること

中教審特別部会の議論で、財務省は教員の処遇改善を行う場合の財源について「文科省施策全体の歳出・歳入両面の見直しにより財源を捻出する必要」という指摘をしています。

教師の処遇改善の議論では、教務主任や学年主任、中学校の生徒指導主事等に支給されている主任手当(教育業務連絡指導手当)、義務教育等教員特別手当、特別支援学級等の教師に支給される給料の調整額、教職調整額…とあらゆる手当などに言及されています。こうしたことから、教職員の給与構造を大きく見直される可能性があります。

また、時間外手当支給のしくみを設けることは否定しています。現在の長時間勤務の状況は黙認され、いっそう深刻化するおそれがあります。

いわゆる「メリハリある給与体系」をさらに活発にする可能性があること

  「審議のまとめ」では、「真に頑張る教師を励まし応援していくためには、そうした教師の能力と業績を適正に評価し、その評価結果を昇任、昇給、勤勉手当等の人事管理に活用していくことが重要である」とし、教諭と主幹教諭の間に「新たな職」を設けること、学級担任の処遇改善として「手当額を加算する必要がある」としています。

学校の教職員は、競争や管理による人事管理が馴染まないというのは、学校職員評価制度・査定昇給制度が導入されて以来明らかなことです。学校という場所に必要なことは、立場や経験を乗り越えて子どもたちのために激励しあい、力合わせをすることです。

道教組「学校のリアル見える化プロジェクト」

私たち道教組は、この「審議のまとめ(素案)」を受けて、道内・道外の先生方と広くこのことを話したいと考えました。しかし、忙しい毎日の中ではなかなかかなう願いではありません。そこで、それぞれの場所で学び合い、気付いたことや感想を、このホームページを通して交流することにしました。それが「学校のリアル見える化プロジェクト」です。この取り組みは、教育への願い、リアルな働き方、先生方の奮闘に光をあてるものです。「先生も子どもも、みんながしあわせな学校をつくろう」―――そんな願いをみんなで語り合うものです。ひとりのことばは小さくても、声が集まり世論が生まれ、情勢は動き始めます。ぜひ、あなたの声を聞かせてください。

学校のリアル見える化プロジェクト

道教組ホームページでは、「学校のリアル見える化プロジェクト」の特設ページを設けました。文章や写真を送信できるフォームです。寄せていただいた内容は、道教組ホームページやSNS、プロジェクトニュースで発信します。全道・全国の先生方の「学校っていいな」「もっとしあわせな場所になってほしいんだ」という思いをつなぎます。

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ステップ1 感想をフォームから文章をお送りください。

例えば、「審議のまとめ」を読んで率直に感じたこと、指摘などを感想フォームからお送りください。

「教職調整額10%」ばかりがニュースに取り上げられていたけれど、本当に大事なところはあまりしられていない。知ることを大切にして、先生方の協同、力合わせを大切にできるようにしていきたい。

道教組緊急オンライン学習会の感想より

ステップ2 A6版のメッセージカードにあなたの言葉を書き込んで

A6版のメッセージカードを全道の職場にお届けします。普段、あなたが過ごしている場所で思いを書き込み、写真を撮って、道教組までおくってください。得意な絵でもいいし、文章でもいいです。あなたの思いを見せてください。

*個人情報が映り込まないように気をつけましょう。

ステップ3 A3版メッセージボードもあります

A3版のメッセージボードは組合に加入するみなさんにお届けします。めいっぱい表現して、写真を道教組に送ってください。

*個人情報が映り込まないように気をつけましょう。

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「学校のリアル見える化プロジェクト」のチラシ
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「学校のリアル見える化プロジェクト」A6版カード

パブリックコメントに向けて意見を考えよう

文部科学省は5月中旬以降に中教審「審議のまとめ」についてパブリックコメントを募集するのではないかと予測されています。

パブリックコメントは「e-govポータル(public-comment.e-gov.go.jp/)」から送信するほか、郵送・Eメールでの送信の方法があります。

「なんか難しそうだから書けないなぁ」

大丈夫です。そんなことにならないように道教組は「学校のリアル見える化プロジェクト」であなたの思いに寄り添います。くわしくは、道教組ホームページで解説する予定です。

連休が終わって、何かと行事が立て込む忙しい時期に入ります。そんな中で、ちょっとしたひとときに、あなたの学校への思い、中教審「審議のまとめ」に対する意見をぜひ、聞かせてください。

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