私たちの働き方を改善するために…

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中教審が教職調整額を現在の4%から10%に上げることを検討していることが報道されています。新聞報道の中には、「50年ぶりの見直し」「残業代2.5倍に!」などという本質的ではない見出しをしているものもあります。

教職調整額は残業代ではありません。文部科学省はこのことを次のように説明しています。

教員の職務は自発性・創造性に期待する面が大きく、夏休みのように長期の学校休業期間があること等を考慮すると、その勤務の全てにわたって、一般の公務員と同様に、勤務時間の長短によって機械的に評価することは必ずしも適当ではなく、とりわけ時間外勤務手当制度は教員にはなじまない。

こうした考えのもとで、時間外勤務手当の代わりに、教職調整額として給料月額の4パーセントを一律に支給され、一般的に教職調整額は本棒(給料の基礎額)の一部だと考えられています。実際に、北海道教育委員会から発行される給与明細でも「給料」の欄の金額は4%が含まれています。

いま、先生方の働き方はどうなっているのか

教職調整額は、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)制定のときに、昭和41年度の勤務実態調査が当時の残業時間を「約8時間」と算定したとされています。文部科学省の勤務実態調査でも1ヶ月平均の残業時間は平成18年で約35時間とされています。

全教では、2022年に勤務実態調査を行っています(以下、「全教調査」)。今回はこの結果をもとに、先生方の働き方を「ひとつのモデル」としてみてみることにしましょう。

先生方は勤務開始時刻前から授業準備をはじめる

全教調査によると、先生方は勤務開始時刻前から少しずつ授業の準備などを始めることがわかります。

朝の時間帯(6:30~8:00)に指導の準備・成績処理 にあたっている割合が高くなる傾向にあり、授業の前に早く出勤し仕事をする先生が多くいます。

休憩時間に休憩できない現状

小中学校の先生は、昼間は授業や子どもの指導に当たることが多く、休憩時間も休めていない現状があります。多くの学校では、児童下校後の夕方の早い時間に休憩時間を定めているのではないでしょうか。おのずと、会議や研修の時間が重なってしまうことがあるようです。全教調査では、先生方が休めているのは小学校4.1分、中学校5.9分という結果が表れています(平日の休憩時間)。

授業の準備・まとめ・成績処理、自主研修は後回し

子どもの指導、先生方との会議など学校では「誰かといっしょに行動する場面」が多くあります。本来、勤務時間に集中して行いたい教材研究など授業準備・成績処理や自主的な研修は後回しになってしまいがちです。全教調査によると、「誰かといっしょに行動する場面」は小学校で7時間48分、中学校で7時間43分という結果が出ていて、7時間45分の勤務時間のほとんどは、こうした時間として費やされていることがわかります。

1日の業務に必要な時間は…

こうして、1日はあっというまに過ぎて行きます。1日の業務に必要な時間は小学校10時間22分、中学校10時間10分という結果から考えると、朝7時に出勤したとしてあっというまに18時を過ぎます。

子育て世代の先生だと、保育所や学童の迎えの時間が迫る頃です。持ち帰って仕事をする先生がいる現実もあります。

先生方の負担軽減は、正規教員の定数増です

こうして先生方の働き方をみてみると、例えば「空き時間がほしい」というような抜本的な改善が必要だというアイデアが思いつきます。最近は「教諭」以外の様々な職が増えていて学校現場ではいろんな立場の方が働いています。こうした方々が学校の環境整備を進めてくれる一方で、授業に関わるのは「教諭」である先生方であるのは、今も昔も変わりません。正規教員の定数を改善することこそが、先生方の働き方の改善につながるのです。こうしたことから私たちは正規教員の定数増を訴えています。