私たちの教育条理こそ本質です~中教審特別部会の審議をうけて~
7月26日、中央教育審議会「質の高い教師の確保特別部会」が開かれました。
この中では、6月14日から28日にかけて募集されたパブリックコメントが議題として扱われました。
それによるとわずか2週間で、18,354件の意見が送付とされたということです。パブリックコメントの中では相当に大量の意見が送付されたことがわかります。
「国民は誤解している」って!?
特別部会の中では、答申案が示され、パブリックコメントに関する討論と併せて、委員による意見交換が行われました。
この中で、「パブリックコメントの意見の多くは、何を言っているんだ!?」というような意見が相次ぎました。「答申案の方向性について理解を求める」ということです。
パブリックコメントに言及した委員の発言を抜粋します。
前回のとりまとめに対する世間のご意見の中には、誤解に基づくものも多かったように思いますので、誤解を解くための努力も継続した方がよいのではないかと思っています。
たくさん批判的な意見もいただいておりますが、目指すところは働きやすさ働きがいの両立による先生方のウェルビーイングの向上とそれによる教育の質の向上というところでゴールは同じだと思います。ただ登り方が違うということじゃないんでしょうか。登り方は違えども、目指すところは同じかなという気持ちでご意見を拝読させていただきました。
パブリックコメントが1万8000件を超える数寄せられていますけれども、この中でしっかりと我々の意図を感じ取ってくれていないなという意見も少なからずありましたけども、この理解してくれていないという数を減らしていくための努力を今後続けていかなければいけないと思います。
かなり批判意見も多いんですが、最終的に子どもたちへのよりよい教育を実現したいという思いはすべての意見に共通しているように感じました。今回の審議のまとめは、必ずしもすべての方に満足いただくものでないとしてもここに書かれた方策をこれからは一つ一つ実行に移していくことが極めて大事だと思います。
露口委員が言っている「登り方が違う」というたとえを借りるとすると、「先生方が『働きやすさ』と『やりがい』を感じられる」ために、多くの先生方はメリハリある給与構造はなじまないと言いました。それを「いやいや、私たちが考えたコースでばびゅーんと山頂目指せますから。ちょっとトラップたくさんありますけど」と言うような無理強いをしたら、途中でリタイヤが続出するのは容易に想像がつくはずです。
そもそもパブリックコメント募集前の6月21日に、いわゆる「骨太方針2024」が閣議決定されたり、1年前から自民党政務調査会が「教職調整額10%」を掲げているなど、特別部会の審議は予定調和なものになってしまっています。
私たちの教育条理の見える化を進めよう!
しかし、こうした中でも、パブリックコメントとしては異例の18,354件も集まったということには、希望の灯りが見えるのではないでしょうか。
パブリックコメント募集期間中にこんな言葉を教えてもらいました。
「選挙でだけではない、政治参加。パブリックコメントは自分の言葉で政治に関わるチャンスなんだ」
今後、答申がまとめられ、給特法改正案の審議、「新たな職」の創設に向けた都道府県の動きの加速化などが予想されます。
わたしたちが大切にしている教育条理が「国民の誤解」などではありません。わたしたち現場の先生がもっている思いこそ教育条理の本質をつかんでいるということを確かめ合う教育運動をへの力合わせを進めましょう!