組合は教師の学校

春だから、組合のこと2024

この記事は約 7 分で読めます

教職員組合運動のよさに、目の前には見えないくらいたくさんの仲間がいるということがあります。

集まって語り合うと、おのずと名言に出逢ったりするものです。

歴史的に、立ちはだかった困難を乗り越えてきた経験が言葉として残っています。

以前に、分会活動が活発な職場におじゃましたときのことです。

「組合は教師の学校」ということが語られていました。

さらに話を聞いていくと、学校の先生として学ぶ事を大切にしていきたいよね…という話に。その中で、『学校の先生だからできること』のひとつとして「仲間と生きるということを伝えられる」という言葉が印象的でした。

組合で学んだことが教育実践に生きることだってあります。教師の授業力とかではなくて、「仲間と生きるということ」を日々考え合っているからできる実践ってあるんだと思うのです。

別の街の若い先生が話してくれたことがあります。組合で、人事異動の時期になるとよく考え合う「理解と納得」ということでのエピソードです。「組合で民主的討議について学んでよかった」という経験談です。

「理解と納得」ってなんですか?

ものすごく簡単に言うと「お互いの状況を語り合い、「多数決」や「誰かの妥協」で結論を求めるのではなくて、『みんなにちょうどいい一致点』を探って語り合うこと」かな

ある学校での児童会選挙でのできごと。6年生の学級で立候補者を生み出す学級会をしていましたが、なかなか会長候補が決まりません。

担任の河原先生は、「民主的に話しあわせながらも、どうしようかなぁ」と考えていた時のこと。

梨花さんという、とても正義感が強くリーダーシップをとれる女の子がいました。みんなから「児童会長に挑戦してみたら?」と声をかけられて、立候補に迷っていました。

河原先生

河原先生

なかなか決断できないりかちゃんの様子をみて、前の学年までに児童会を経験している快斗くんと彩奈さんが何か言いたそうだなぁ

3人の様子を見て、河原先生は気付いたのです。

ちょっと時間をとって、3人で話してみる?

梨花ちゃんはどんなところが不安なの?

梨花さん

梨花さん

私、児童会やったことないから、委員会の時間にどんなことしてるかわからないし、うまくできるかわからなくて不安なんだ。

彩奈さん

彩奈さん

そんなに難しくないよ。大丈夫。

快斗さん

快斗さん

でも、俺らになんかできることあるかな。

学級に残ってリーダーをする人、「児童会」で全校のリーダーをするチャレンジをする人、いろんな立場があるよね。最高学年として誰がどんな場で活躍するかが大事だと思うよ

じゃあ、私たちのどちらかが副会長としてサポートするってのはどう?

それならがんばれるかもしれない

じゃあ、俺が副会長になる。彩奈さんは学級委員長の立候補ってのはどうだろう?

子どもたちに学級のリーダーや全校のリーダーを分かち合いながら、どう組織化していくかという考え方を話し、子どもたちは自分たちなりに「理解と納得」を見いだしてくれました。

河原先生はこう振り返ります。

河原先生

河原先生

教師として、組合活動に携わっていなければ、「理解と納得」の考え方を生かして、子どもたちに語ることができなかっただろうし、子どもたちが困っているときに、適切なアドバイスはできなかったなぁ。

聞けば、そのあとは会長候補を支えるために学級で何ができるかということを話し合い、無事に児童会選挙を乗り越えて子どもたちはそれぞれの役割に奮闘したといいます。

 よく、「組合のメリットは?」なんて言われたりします。たとえなかなか気づけなかったとしても、「あれ?これかも!?」と気づくときがあります。先の体験談の先生は、この経験をきっかけに「組合辞めようかな」と思わなくなったそうです。

教職員組合運動は、生活や権利の面の前進を求めることだけでなく、目の前の子どもたちにどんな大人になってほしいか、そのためにどんな教育ができるのか、大人としてどんな未来を手渡すのか…ということを考えるダイナミックな運動です。

そしてそれは、日々の先生方の「忙しい」という苦悩に寄り添うような、職場づくりに源流があります。

あちらこちらで「組合っていいな」と思ってくれる人がいると、運動は頼もしくなります。

そして、「いいな」という思いを担い合うことで、運動も、学びも、笑顔も、広がっていくんだと思います。

あなたもいっしょに、教職員組合運動に集い、語り合いたいと願っています。

*記事の中に出てくる先生の名前、子どもの名前は仮名です。
関連記事
image
道教組への加入はこちら