しなやかに、本質をつかむ
年度末から新年度に向かうこの時期、別れと出会いの季節でもあります。
学校という職場で教職員が入れ替わり、新たな1年が始まります。
学校には様々な職種の人たちが働いていて、年齢もバラバラです。世代や立場によって担う仕事が少しずつ違いながら、子どもたちの前で力合わせをすることで学校は成り立っています。
おのずと、様々な思いがめぐる場所でもあります。
たとえば、職員会議で…
新採用として働く高田先生の学校では、こんなやり取りがあったそうです。
かくかくしがじかでうんぬんかんぬん(難しい提案をしている)
校長先生がたくさん説明してくれたのは、なんとなくわかった気がするなぁ
時間が経って…
やっぱりよくわからないから、校長先生に聞いてみよう
校長室に質問に行った高田先生に校長先生は
「民間企業では社長に直接質問することは考えられない」
と言ったのです。高田先生は校長室から戻ってきてしょんぼりです。
どうすればよかったんだろう。
高田先生は分会会議でこのことを相談してみることにしました。
それはひどいね。わからないから聞きに行ってるにねぇ
ほんとうに民間企業ってそんななの?
高田先生の思いに寄り添って、いろんな意見が出されました。
ひと通り、語り合った後に分会長の山崎先生がさらっと言いました。
「他の人にも聞いてみたらどうだろうか」と言いたかったのではないかなぁ」
山崎先生のしなやかさには、その直観的な洞察力と人間的な奥行き深さを感じます。
同時にこの一言に、教職員組合が大切にしている本質をつかむことの大切さを感じます。
たとえば、保護者対応で…
こうして本質をつかむ力は、保護者対応でも役に立ちます。
佐川先生は学年3学級もある大規模小学校に異動し、同時に2年生の担任になりました。
1年生のときには、途中で担任の先生が変わっている学級で、佐川先生で担任の先生は3人目だと言います。
子どもたちはクラス替えなく進級するっていうから、うまく新学期スタートきれるかなぁ。
不安と期待で始業式を迎えました。子どもたちが笑顔で下校し、ホッとしたところで保護者の佐々木さんから電話がかかってきました。
先生!うちの子が「先生が男だから、学校に行きたくない」って言ってます。
佐川先生は電話をしながら
と思ったといいます。
わかりました。明日も元気に来るの楽しみに待ってるよって伝えてくださいね。
どうにか電話を終えてから、モヤモヤする気持ちを抑えつつ、
と考えてみることにしました。
あっ!? もしかして「新しい学年への不安だよー」って言いたいのかな?
そのことに気づいて、佐々木さんの様子を気に掛けながら過ごすこと数日。少しずつ佐々木さんは笑顔が増えていったといいます。
しなやかに、本質をつかむ
言葉には表と裏、根底にあふれる思いや、発したその人がもっている価値観などたくさんの背景があるものです。
学校という職場にはこうした気遣い、そして心配りがあふれているものでありたい。それが道教組が掲げる「協力・共同の学校づくり」というものの一端です。
その具体には、しなやかに本質をつかみ力合わせをする先生方の姿があります。
教職員組合で学び、教育実践を紡ぐ組合に集う先生方の姿です。