あなたの加入は、誰かのヒーローになる!
![](https://www.dokyoso.jp/wp-content/uploads/2024/03/mikami_circle-1024x1024.png)
三上先生は、道北の街の中心校で新採用され3年が経過しました。
民主的な視点が鋭くて職場では親睦会の幹事を務めるなど職場づくりにも奮闘しています。そんな三上先生はよくまわりの先生から
えっ、あなたは当然、組合に入ってると思ってた!
とびっくりされることがしばしばだと言います。
そんな三上先生に内村先生は改めて声をかけました。
組合に入ろう?
すると予想外の言葉が返ってきました。
ぼく、組合のコトがこわいんです
詳しく聞けば、期限付時代に勤務した別の地域での思い出が影響をしているとのこと。
![](https://www.dokyoso.jp/wp-content/uploads/2024/03/60744e25d7750fb08a9f24f685d440a5-1024x1024.jpg)
放課後、勢力が大きい組合が分会会議をしていたといいます。職員室で仕事をしていた三上先生は電話を取り継ぎに分会会議をしている教室に行きました。そこで、ノックをしつつ『〇〇先生、電話です!』と取次をしようとドアを開けた時のことです。
教室にいた全員がものすごく恐ろしい形相で三上先生を睨みつけたように感じた、鋭い視線に耐えられなかったというのです。
「組合」のイメージは、こわいものになったそうです。内村先生は、そのエピソードに驚きながらも話しました。
そんな経験があったんだね。話してくれてありがとう。同じ職場で力合わせをしているからわかると思うけど、うちの組合は決してそんなこわくないよ。今度詳しく話を聞いてほしいから、明後日の放課後にまた時間をくれないかな?
三上先生は快諾してくれました。
内村先生はそのときのことをこんなふうに振り返ります。
2日経って、放課後に時間をつくって内村先生と三上先生は再び組合について話をしました。
今日は、三上先生が知りたいことにこたえていきたいと思うんだ。組合について「これどうなんだろう」って思ってることってある?
すると…
![](https://www.dokyoso.jp/wp-content/uploads/2024/03/mikami_circle-1024x1024.png)
①なぜ組合はふたつあるのか
②組合費は何に使われているのか
③組合に入ったら何をするのか
…という3つの話題になりました。
そこで、内村先生はひとつひとつの疑問に寄り添いながら、教職員組合の教育条理を大切にしてお話をしました。そしてビビッとひらめきました。
組合の何か楽しいことを一緒に味わえたらいいね
ぼくなんかが参加して大丈夫なんですか!?
そんなやりとりをしていると、内村先生は近々分会送別会があることを思い出しました。
再来週に、加藤先生が退職するから分会で送別会をするんだ。来ちゃう?
![](https://www.dokyoso.jp/wp-content/uploads/2024/03/yamada-1-1024x1024.png)
動揺しながら三上先生はOKしてくれました。内村先生は分会長の山田先生に、三上先生とこうしたやりとりをしていることを伝えました。
山田先生は、送別会の案内をする分会報で「特別ゲスト来たる」と大々的に宣伝してくれました。
約束した通り、三上先生は分会送別会に来てくれました。
ここで予想外のことが起きたんです。
内村先生の予想外とは…
三上先生は恐縮しながら聞いてくれました。
後から
組合はこわいと思わなくなった
と感想を教えてくれました。
こうして送別会を終え、年度末になりました。
ときは、今から5年前。平成から令和に変わろうとしている春のことです。
年度末・新年度の忙しさになかなか「組合に入ろう?」と声をかけられないまま、4月が終わろうしていたある日、今度は分会歓迎会がありました。もちろん、三上先生は来てくれました。
この「分会歓迎会」で三上先生の組合加入に向けて大きく動きが生まれます。
—30~40分くらいこの会話がエンドレス—
こんな会話で終始盛り上がり続けました。
そして5月1日を待たず4月27日。
三上先生は山田先生のところに行きました。
これ、受け取ってください
三上先生は山田先生に組合加入のハガキを渡しました。加入年月日は空欄になっていることに気付いた山田先生はうれしそうに…
これはもう「5月1日」って書かなくちゃ
と三上先生に話し、静かな職員室で笑い合いました。
![](https://www.dokyoso.jp/wp-content/uploads/2024/03/4178315_s.jpg)
山田先生は、分会のグループLINEで三上先生の組合加入を分会の仲間に知らせました。
歓喜のスタンプの嵐は、まるでヒーローが誕生したかのような盛り上がりでした。
あなたの教職員組合加入は、誰かのヒーローになるのです。
記事に出てくる先生の名前は仮名です。また写真はイメージです。