道教組・道高教組は「胆振東部地震被害にかかる緊急要求書」を道教委に提出しました

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2018年9月12日

北 海 道 知 事        高橋はるみ 様

北海道教育委員会 教育長    佐藤  嘉大 様 

 

                                                                        北海道高等学校教職員組合連合会

                                                                                             中央執行委員長 尾張  聡

                                                               全北海道教職員組合 

       執行委員長       川村 安浩

                                            

胆振東部地震被害にかかる緊急要求書

 

 日頃より、教育条件整備にご尽力いただいておりますことに心から感謝申し上げます。

 9月6日(木)、胆振地方中東部を震源として発生した地震は最大震度7を観測し、人的被害、建物被害が多く生じています。亡くなられた方々とご家族のみなさんに心から追悼の意を表します。また、被害にあわれた皆さまに心からお見舞いを申し上げます。さらには、全道的な停電や各地での断水で、被災者であるにも関わらず懸命に奮闘された道職員のみなさんに心から敬意を表します。

 北海道高教組、道教組は、特に被害が大きかった胆振地方、日高地方を中心に被害状況の聞き取り調査を実施しました。以下の状況が報告されています。

 

  • 不安の中でおびえる子、揺れていると怖がる子、眠れないと訴える子が増えている
  • 避難指示が出ており、校舎や体育館が使えない。学校再開の見通しがたたない
  • 公宅のひび割れが大きく、余震で大きくなっており心配。避難指示が出ており公宅に住めない
  • 公共交通機関の再開の見通しがたたず、生徒が通学できない。通学に支障をきたしている
  • 生徒に給食を提供できない。限られた食材の中での給食の提供に苦慮している
  • 修学旅行や宿泊研修の延期の調整を行っている

 

 このように、被災地の困難はいっそう深刻度を増しており、このことは子どもたちにも大きな影を落としており、一刻も早い復旧と再建、生活の安定が求められます。また、教職員の疲弊も深刻であり、不調を訴える教職員が増えることも予想されます。

 つきましては、以下のように緊急の要求をいたしますので、よろしくお願いいたします。併せて、市町村・市町村教育委員会への働きかけもよろしくお願いいたします。

 

 

安全・安心な教育環境の確保について

(1)施設・設備の被害状況を早急に調査し、修理・修繕すること。市町村立学校の修理・修繕についても、道の財政支援を検討すること。

(2)被災した教育備品、教材などについて、調査の上、措置すること。

(3)ブロック塀の倒壊防止などの安全対策を急ぐこと。

(4)災害時に避難所としての役割も果たす学校施設の防災機能の強化、耐震化の完全達成に向けた支援を図ること。

子どもの心のケア、健康保持、支援について

(1)被災した児童生徒に、授業料無償化の拡大、校納金の免除・代替、教科用図書購入費、制服購入費及び修学旅行費の全部又は一部の給付、高校入学検定料の免除など、緊急の就学援助を行うこと。

(2)被災によって遠距離通学を余儀なくされている児童生徒に交通費を補助すること。

(3)保護者・子どもの要望をもとにスクールバスの本数を増発するよう市町村や関係各所に働きかけること。

(4)通学や就職、進学試験等へ支障のでないよう、被災地の道路やJRの復旧を急ぐとともに、代替交通機関の運行や増便を関係各所に働きかけること。

(5)9月16日からの就職試験に向け、被災した高校生の就職希望者が不利益を被ることがないよう、北海道経済連合会や北海道商工会議所連合会等の経済団体に、特別な配慮をするよう働きかけること。

(6)要望のあった学校には、教職員や養護教諭を加配すること。

(7)災害を体験した子どもたちの心のケアのため、要望のあった学校には、スクールカウンセラーを配置すること。

(8)生活困難な子どもや家庭への支援を強化すること。ソーシャルワーカーを増員し、要望のあった自治体に配置すること。

(9)被災した進学希望者には、返済不要の奨学金を給付すること。また、無利子奨学金借入枠の拡大と返済期間の延長を行うこと。

教育課程・教育内容について

(1)さまざまな困難を抱える被災校において、教職員が十分に子どもと向き合えるような時間が取れるよう配慮すること。

(2)各学校において編成された教育課程を尊重し、学校の教育活動を支えるよう尽力すること。

(3)臨時休校や災害による通学困難となった学校の実態や現場の裁量を最大限に尊重し、画一的な「授業時数確保」の押し付けを行わないこと。

(4)臨時休校の判断基準を再確認し、交通機関や道路の状況によって登校が難しいと思われる場合は、児童生徒の安全を最優先し、無理に通学させないよう各学校・教育委員会を厳しく指導すること。

(5)保護者の失業や死亡、家を失うなど様々な困難を抱え、悪条件の中での学習を余儀なくされている被災地の受検生について、十分な配慮を行うこと。

 

 

教職員の勤務条件整備、健康保持、生活支援について

(1)教職員の心のケアとメンタルヘルスの維持のため、最大限配慮すること。

(2)「特殊業務手当」など実績どおり支給すること。

(3)災害時、災害後の教職員の勤務と保障を明確にし、割り振り変更もきちんと行うこと。

(4)児童生徒の安否確認などで使用した携帯電話代などの自己負担分を保障すること。

(5)交通機関や道路の状況によって通勤が難しいと思われる場合は、教職員の安全を最優先し、無理に通勤させないよう各学校・教育委員会を指導すること。

(6)ボランティア休暇を積極的に取るよう、校長や各市町村の教育委員会に働きかけること。

(7)被災した教職員に対して、教育活動に係る書籍文具類購入や住宅再建・確保、通勤用自家用車購入等の財政補助をするなど、生活支援を強化すること。

 

以 上